首都圏では、大量の食品廃棄物が発生しています。これらの食品廃棄物の大部分は、リサイクルが可能であるにも関わらず、焼却され、灰は埋立処分されています。食品廃棄物の中には水分が多く含まれているため、これを他のごみと一緒に焼却処理することは、ごみ全体の発熱量を低下させることになります。また、本来、循環利用できるはずのものを埋立てるということは、最終処分場が逼迫しているという首都圏の状況から考えても、不適切な処理・処分方法であるといえます。
一方、平成 13 年 5 月に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)が施行され、食品関連事業者に再生利用を促し、業種別にリサイクル率の目標を定められました。とくに食品廃棄物の年間発生量が100トン以上の大規模事業者にはリサイクル率(再生利用実施率)などの報告を義務づけ、取り組みが不十分な場合には、企業名の公表や罰金などの厳しい措置もとられるようになりました。

しかし、まだまだ食品廃棄物のリサイクルの受皿は、十分に整備されているとはいえません。
バイオエナジーは、こうした現状を踏まえ、 環境合理性を欠いた食品廃棄物の処理方法から脱却し、持続可能で循環的な処理方法に転換していくとともに、それを定着させ継続していくことを目指しています。

「食品循環資源の再生利用の促進に関する法律」(食品リサイクル法)とは

「バイオマス」とは、エネルギー資源として利用できる、生活資源・畜産資源・農産資源・林産資源などの有機性資源のことです。これらは、リサイクルが可能で、環境に与える負荷が少ないエネルギー資源として注目され、さまざまな利用研究が進められています。バイオエナジーが取り組むメタン発酵によるリサイクルもまた、「バイオマス」を活用した技術のひとつです。環境に与える影響が少ない再生処理として、食品廃棄物を飼料化、肥料化・堆肥化する方法もあります。しかし、分別が厳しく規制されること、受け入れに制約があること、将来的に安定した再生品の需要が見込めないことなどを考慮すると、首都圏における処理方法としてメタン発酵を採用しました。

バイオエナジーのリサイクル技術は、自然界に存在する微生物で食品廃棄物を分解し、メタンガスを主成分とするバイオガスを回収し、そのバイオガスを、ガスエンジンで発電し、電気と熱のエネルギーを生み出し、さらに都市ガス精製設備で都市ガスを作るというものです。ひとことで言えば、生ごみからエネルギーを作るリサイクル技術です。
東京をはじめとする大都市で発生する食品廃棄物には、不適物の混入や油分、塩分、糖分を含んだものが多く、調理後の食べ残しや加工後の残さの比率が高いという特長があります。これらは腐りやすく、液状化している場合も少なくありません。そうした食品廃棄物の再生利用に最適な技術が、メタン発酵技術です。そのうえ、肥料化や飼料化に比べ、リサイクル品が電気と熱と都市ガスなので、都市部での需要は安定しており、将来的に需要不安のない継続可能なリサイクルと高いリサイクル率を実現します。

食品リサイクルの処理工程